海外の遺族年金にだけ相続税?そんなの不公平では?

海外の公的年金に加入していた夫を亡くした妻が、国税当局に遺族年金への相続税課税取り消しを求める訴訟を起こしています。

国内の遺族年金は、国民年金法により相続税が非課税とされています。しかし、海外の遺族年金については国内法に同様の規定がなく、課税対象とされているのが現状です。このため、原告は「不公平」だと訴えています。

この女性が困惑したもう一つの理由は、納税額が700万円という多額に及んだことです。

2010年の相続税法改正がその背景にあります。改正前は、受給者の年齢に応じて課税対象額が設定されていました。例えば、61〜70歳なら年間受給額の2年分が対象でしたが、改正後は、平均余命に基づいて計算される方式に変わりました。

この女性の場合、旧方式なら課税対象額は年間受給額2年分の400万円でした。しかし、新方式では平均余命に基づく約4,800万円が対象となり、結果として700万円の納税額が決定しました。平均余命まで生きられる保障がない中で、税額が決まってしまいます。

もし、海外年金に相続税が課税される事実を事前に知っていれば、配偶者控除を利用できた可能性があります。しかし、無申告で指摘を受けた場合、控除が適用されず、延滞税や加算税が課される恐れがあります。

外務省によると、海外で暮らす日本人は約130万人。今後、同様の問題に直面する人が増える可能性があります。司法の判断が注目されます。