相続税 中流層も走る

2015年の増税を控え、富裕層に加え新たに中流層も贈与などの活用に動く。

富裕層は数千万円から数億円単位の相続税が予想されるためもともと節税に前向きである。孫の教育だけでなく相続税を減らすことのできる教育資金非課税制度の利用も多く見られる。8人の孫に1500万円ずつ贈与すると1億2000万円も課税財産を減らせる。

また、不動産活用も目立つ。現金で持つよりも相続税評価額が下がるためだ。土地は借地・借家にした分だけ「貸家建付地」として評価額を減らせ、さらに一定面積までは「小規模宅地」として評価を減らせるため、課税上の評価額が額面通りの現預金で持っておくより効果的である。

一方で、資産が1億円前後の中流層は同じ節税対策でも家計に副作用が出る可能性もある。自分の老後資金が不足する心配や孫全員に分ける財産がない等、実行可能な節税手段に乏しい。もはや税負担は避けられないと贈与税の非課税枠を利用し、親が子の保険料を負担して生命保険に加入するケースも増えている。

富裕層には増税負担を抑制するメニューが出そろいつつある半面、中流層は負担増を乗り切る対策に今後も苦心することになりそうだ。
(平成25年6月26日 日経新聞より)

現行の相続税の基礎控除額(課税財産から差し引く分)は「5000万円+1000万円×法定相続人数」ですが、2015年以降は「3000万円+600万円×法定相続人数」に引き下げられます。相続人が3人で課税財産が8000万円ある場合、現行は課税されませんが、2015年以降であれば、課税対象額は3200万円になります。

このことからも、今後は我が家も相続税がかかるのかと不安に思う人が増えてくると思います。相続が発生する前に、課税財産を把握することが大切です。相続税がかかる可能性があるならば、前もって家族で節税対策をすることができますので、一度自分の家族について考えてみましょう。