海外在住邦人向け証明書のオンライン化で利便性向上

政府は5月下旬から、海外在住の日本人向けに「在留証明書」などのオンライン発行を開始。これまで、申請者は大使館や総領事館の窓口へ出向く必要があり、遠隔地に住む人にとっては大きな負担でしたが、約129万人の在外邦人の利便性が高まることとなりました。

【何が変わったのか】
オンラインで「e証明書(電子証明書)」を受け取れるシステムが導入されました。在留証明書は、日本の金融機関での口座開設時などに住民票の代わりとして必要です。7月以降は、出生・婚姻・離婚の証明書もオンラインで受け取れるようになる予定です。

【在留証明書の主な用途】
在留証明書は、海外在住者が以下の日本の手続きを行う際に求められます。
 ◆日本の年金受給
 ◆海外居住者としての税務手続き
 ◆在外選挙人名簿への登録
 ◆日本の運転免許証更新
 ◆金融機関での手続き(海外送金、口座開設・解約など)
 ◆不動産取引における住所証明
 ◆公正証書作成など法的書類の作成 など

【相続手続きにおける注意点】
相続登記では、遺産分割協議書に添付する印鑑証明書の代わりに「署名証明書(サイン証明書)」が使われるため、原則として在留証明書は必須ではありません。しかし、法務局によっては提出を求められることがあります。海外在住者名義への変更の場合も、署名証明書に住所記載があれば足りるケースもありますが、在留証明書が必要となる場合があるため、事前に法務局への確認が必要です。

これまで、遠隔地で在留証明書が求められた場合は、現地の公証人による「宣誓供述書」で代用する方法もありました。今回のオンライン化により、在外公館へ足を運ぶ手間は軽減されるでしょう。

しかし、相続手続きで必要となる「署名証明書(サイン証明書)」は引き続き、在外公館または現地の公証人の元に出向いて取得する必要があるため、結局のところ、いずれかの場所へ足を運ぶ必要は残りそうです。