エンバーミング、10年で2.6倍!

遺体に防腐処置を施し、衛生的に保全する「エンバーミング」が増加しています。一般社団法人「日本遺体衛生保全協会(IFSA)」の調査によると、2024年には全国で8万2068件の処置が行われ、これは10年前の2.6倍にあたります。

背景には、多死社会における「火葬待ち」の増加や、遺体を衛生的に長期保全したいというニーズの高まりがあります。また、海外への遺体搬送にはエンバーミングが必須となるため、訪日外国人の増加も一因とされています。

この処置は遺族や葬儀社からの依頼で行われます。専用施設で故人の血液を薬剤に置き換えるほか、生前の姿に近づけるための「死化粧」も施されます。事故などで損傷が激しい場合でも、安らかな姿に戻すことで、遺族が穏やかな気持ちで故人との最後の対面ができるようになります。

エンバーミングには多くのメリットがあります。たとえば、感染症のリスクを気にすることなく、故人に触れて心ゆくまでお別れの時間を過ごせること、また、ご遺体を10日から2週間程度安全な状態で保つことが可能です。

2025年7月末時点で、エンバーミングの技術者として稼働しているのは237人。今後は、技術者や事業者に対する法規制の整備が課題となっています。