遺産争い、長期化にリスク ~登記義務、施行前の相続も~

施行を控えるのは改正民法・不動産登記法と相続土地国庫帰属法。21年末に具体的な施行日がそれぞれ決まった。

改正民法は23年4月1日の施行で、遺産分割協議に期間を設ける。現在は法律上の期限がないが、相続開始から10年を過ぎると原則、民法で決まっている法定相続割合で分けるようにする。

新法の相続土地国庫帰属法は23年4月27日に施行され、相続で取得した一定の要件を満たす土地を国が引き取る。

改正不動産登記法は24年4月1日に施行し土地・建物の相続登記を義務付ける。改正によって相続開始から3年以内に登記する義務を課し、登記しないと10万円以下の過料となる。

重要なのは今回の法改正や新法が施行日前に発生した相続も対象にする点だ。何かを義務付けたり、違反者に過料を科したりする法律は通常、施行日から遡って適用することはしない。

相続の発生が24年4月1日以降なら、発生から3年以内が期日となる。すでに相続が発生している場合は、27年3月末までに名義を変更する必要がある。登記しなければ過料がある。

また期限に間に合わないなら、新設する相続人申告登記制度の利用を考えたい。相続人の住所、氏名などを申し出れば、相続開始から3年が過ぎても過料の対象にならず、登録免許税も非課税だ。

遺産分割協議の改正では、施行日より前に発生した相続を対象に5年間の猶予を置き、28年3月末が期日の目安になる。例えば施行日時点で相続発生からすでに10年が過ぎているケースなどだ。ただ10年経過する日が28年4月1日以降になる場合は、発生日から原則10年間が期間となる。

分割協議では通常、特別受益や寄与分を踏まえて分割割合を決めるが、改正後は期間を過ぎると原則考慮されない。

親の土地や家の立地条件が悪かったりして相続人で受け継ぐ人がいなければ、相続土地国庫帰属法の利用が選択肢だ。相続の発生時期にかかわらず、施行日から引き取りを申請できる。「建物がない」「境界争いなどがない」などの要件を満たす必要がある。承認されると管理のための10年分の負担金を納めなければならない。

(令4年1月6日 日本経済新聞より抜粋)

2027年4月1日には、ほとんどの土地が相続登記されているという状態になるわけですね。
それにしても珍しい法律です。過去に遡って過料の対象とするものは、ほとんどありません。
今回の法改正や新法は、施行日前に発生した相続も対象になります。

2024年4月1日以降に発生した相続は、3年以内に相続登記しないと過料10万円。
過去に発生した相続は、2027年3月末までに登記をしないと過料10万円。

これにともない、不動産の売買も活性化しそうです。
これまで手付かずだった土地が、新所有者が決まることで、売却する人も増えるでしょう。
しばらくは、相続不動産バブルが続きそうですね。
今からの準備が必要です。

(米田貴虎)