遺族の生活を守る家族信託 – 自分の死後 家族が心配

家族信託とは、自分が年老いて判断能力が低下した時や、死んだ後などに、家族が問題なく暮らすために設計する制度。

家族信託に向く事例として、

①本人の認知症対策(親が元気なうちに、子供の1人に不動産の名義を移すが、生存中は親が収益を使えるようにするなど)

②障害のある家族を守るため(故人に財産の運用・管理を任された者が、認知症や障害のある家族に対して生活費や施設費などを渡す仕組み。弁護士などの信託監督人が、不正しないように監督する)

③事業承継対策(事業を手掛ける親が元気なうちに、後継者にしたい子供に対して信託契約を結ぶ。親に判断能力がある間は『指図権』を確保しておけば議決権を行使できる)

こうした家族信託の設計ができるプロはまだまだ少ないので、信託口座を取り扱っている金融機関や公証役場で紹介してもらうとよい。

(平成29年8月9日 日本経済新聞より抜粋)

最近、家族信託が注目を浴びてきています。

障害を持つ子供がいる家庭や、借入が残っている収益マンションを持っている家庭には有効な制度だと思います。

ただ、家族信託の相談に来られても、遺言や後見の制度を使えば、充分問題を解決できることも多いです。

本当に信頼できる家族、自分の代わりに全ての判断を任せられる家族がいない場合は、家族信託を使うことは難しいです。

何ごとも相続の問題は、家族の信頼感が前提です。家族仲が悪ければ、思うような家族承継はできません。

メリットデメリットがきちんと理解されて、世の中に広まるまでにはもう少し時間がかかりそうですが、良い面もたくさん有ります。

特に、障害を持ったお子さんがいるご家族には、有効な制度です。

普及に少しでも、貢献していきたいと思います。

(米田貴虎)