母が認知症で相談できない

財産を相続する人のいずれかが認知症や知的障害、精神障害で判断能力が十分にないというケースは現実にあります。ここで有効になるのが、「成年後見制度」です。認知症などの人の財産を守るためにある仕組みです。家族などが家庭裁判所に申し立てることにより代理人を選任してもらいます。

この人のことを「後見人」と呼びます。後見人には子どもなど家族がなる場合が全体の42%(2013年、最高裁判所まとめ)です。

ただし、遺産分割協議に限って見ると、家裁は特別に配慮して、相続人以外の人を代理人に選任します。その代理人は「特別代理人」といい、その人が代わりに分割協議に参加して、受けるべき財産の権利を主張することになります。

(2015年4月1日 日経新聞より)

高齢化社会の象徴ともいえる成年後見制度を利用する数は年々増加しており、現在20万人を超える勢いだ。昨今話題となっているオレオレ詐欺などの被害に遭わないようにと利用する家族も多いのではないかと思う。

一方、どういった状態になれば判断能力が低下し利用すべきかなど、周りの家族が本人の判断能力の程度を計るのは非常に難しいところもあり、実際に利用するに至るまでの手続き面が煩雑で時間が掛かることも多いので、利用せずにいるケースもいるのではないかと思う。

本人の権利を保護するためには、この制度を利用すべきであるので、誰にでも利用しやすい制度づくりの見直しが今後の課題ではなかろうか。