巨大な「空家」、淡路の観音像 – 新法施行でも解体難題

兵庫県淡路島の巨大な観音像が、周辺住民にとっては危険な迷惑施設になっている。所有者不在で管理が放棄され、外壁がはがれて落下するなど、劣化が進んでいる。

2006年に所有者が死亡。相続が放棄され、誰もメンテナンスをしない状態が続いている。淡路市によると、現在は大阪市の法律事務所が相続財産管理人となり、譲渡先などを探しているようだが、売却できる見通しはないという。

2月に国が「空家等対策の推進に関する特別措置法」を施行。自治体の判断で解体・除去をする行政代執行に踏み切れるガイドラインを示したことで、緊急性の高い危険な建築物の自治体による強制的な撤去の動きが広がるとみられている。

淡路市の場合は、新法ができても難題が残る。市が試算した観音像の解体費用は1億円超。仮に行政代執行に踏み切ったとしても、大半は回収できる見込みがない。淡路市長は、「すぐに解体するほどの緊急性はないと考えているが、周辺住民への危険度が増したら、市が負担する覚悟はある」と話している。

(2015年2月 日経新聞より)

これまでは、倒壊など周辺に危険を及ぼす可能性がある建築物であっても、個人の所有物の場合は、簡単には自治体が手を出すことができないケースが多かったようだ。

バブル期にかけて全国で巨大な仏像や観音像が建設されており、築年数が長くなるにつれて老朽化が進み、周囲にも危険を及ぼす可能性が高くなってきます。

所有者が定期的にメンテナンスを実施している場合は、問題ありませんが、所有者不在の場合やメンテナンスを実施していない場合は、周辺に危険が及ぶ可能性が高いと言えます。

事故が起こる前に解体する等の自治体の適切な判断が必要です。