所有者不明地 国土の2割に? ~登記義務付け、抑制期待~

誰が所有しているのかがわからない「所有者不明土地」が全国で増えている。土地を相続した時は、法務局に申請して不動産登記簿上の名義を換えるのが原則だが、法的義務ではないからだ。2016年時点で九州本島を上回る規模に広がり、2040年に国土の2割、北海道本島の面積に迫るとの試算もある。
所有者が分らないと、
◆道路やトンネルがつくれない
◆災害復興の障害に
◆不法投棄の現場に
◆税金が徴収できない
といった問題が発生する。
対策は始まったばかりだ。
既存の410万haについては、①~④の制度化が完了。
①公共目的で利用権が認定可能に
②長期相続登記等未了土地の相続人に登記を勧告
③農地バンクへの貸し付けや森林の管理・運営委託をしやすく
④変則型登記の土地を一定の条件で売却可能に
2020年以降に⑤⑥を制度化する予定。
⑤地籍調査の手続き見直し
⑥土地共有関係の解消を可能に
また、予備軍である310万haについても、2020年以降に⑦~⑩を制度化する予定。
⑦相続登記を義務化
⑧土地所有権の放棄を容認
⑨遺産分割に期間制限
⑩登記簿と戸籍をシステム上で連携

(令和元年8月2日 日本経済新聞より抜粋)

最近、山林や長期間放置されたままの土地のことで、市役所からお尋ねの文書が送られてくる人が増えています。
②の勧告が行われていることが分かります。
相続登記を義務化、土地所有権の放棄を容認、遺産分割に期間制限、登記簿と戸籍をシステム上で連携など、おおよそ制度の概要が固まってきました。
相続の実務でも、影響があるところが多いと思います。
ただでさえ狭い日本の国土で、活用されない土地が2割以上になることは大変な問題ですから、一日も早く施行してほしいものです。
(米田貴虎)