老々相続の憂鬱

5年前、伯父の家に立ち寄った際に、ケアマネージャーから「老々介護」の限界を聞かされ、子はなく、地方に住む兄弟も疎遠という伯父のため、成年後見人になったAさん(59)

そのときは、伯父にはかわいがってもらったということで承諾したのだが・・・。

伯父の相続が発生し、同じように成年被後見人となっていた伯母の成年後見人を探す作業、相続人の把握と連絡のため、調べてもらったところ、伯母以外に伯父の兄弟姉妹、甥、姪ら10人以上がいたという事実、想像を超える手続の負担が次から次へとのしかかってきた。

伯父が元気なうちに「全財産を配偶者に相続させる」旨の遺言があれば・・・と悔やまれるが後の祭り、誰かが背負うしかない。長寿高齢化に拍車がかかる日本で、被相続人、相続人がともに高齢者の「老々相続」は、もはや日常風景。ある日、あなたもその担い手や当事者になるかもしれない。(平成25年 日経新聞より)

成年後見人になった場合、相続人になられるであろう方と連絡を取り合っていれば、今回のように一人で背負うこともなかったのではないかと思います。

今や、認知症患者は460万人、65歳以上の単身世帯数も500万近くという現状にも関わらず、遺言書を書いている人は、まだまだ少ないです。

高齢であるとか、ないとかではなく、今回のように、子どもがいないので妻に全財産を相続させたい場合や、財産は自宅のみの場合、特にお世話になった家族・かわいい孫・気がかりな子に贈りたい場合、2回以上結婚している場合、すでに配偶者と死別している場合などは、遺言書を書いておくことをお勧めします。残されたご家族が困らないように・・・。