成年後見制度で財産管理

認知症などで判断能力が低下すると、預貯金や不動産などの財産管理、介護を受ける際の契約などに支障が出てきます。

悪徳商法の被害に遭う恐れもあるので、そんな人を支えるのが成年後見制度です。法定後見と任意後見があります。

法定後見は本人や親族、市町村長らの申し立てで家庭裁判所が支援を受ける人の判断能力に応じて成年後見人・保佐人・補助人を選任します。それぞれ代行できる範囲が違い、最も権限が大きいのは成年後見人です。

任意後見は本人がしっかりしている間に信頼できる人と公正証書で「任意後見契約」を結んでおき、能力が低下したときに家裁に申し立てることで任意後見人になってもらいます。

法定後見で後見人らに選定された人のうち、56%が親族です。しかし身寄りのいない高齢者も増えており、親族の割合は年々減少しています。急増しているのは司法書士や弁護士らの専門家ですが、地域によっては限りがあり、なり手が不足しているのが実態です。

各自治体では市民後見人の養成に乗り出しています。認知症高齢者だけで300万人を超えているにもかかわらず、制度の利用者は16万人にすぎません。早急な普及が望まれます。
(平成25年2月22日 日経新聞より)

今後高齢者の数はますます増え、同時に認知症高齢者も増えていくと思われますので、成年後見制度は普及していくことが予想されます。

この制度を利用する場合、親族以外に後見人を依頼すれば、後見人らに支払う報酬が発生します。報酬金額は月1~数万円が多いようですが、親族がいる場合には、親族が後見人になる方が、報酬等の出費を抑えることができおすすめです。

しかし財産管理は大変なうえ、手間暇がかかります。ですから、もし家族に高齢者がいてこの制度の利用を考えているなら、生活や家族環境を踏まえた上で、誰を後見人にするかを事前に考えておくことが大切です。