【相続事例集】せめて一部だけでも…

妻の相続手続(預貯金のみ)を、夫の佐野さんと姪のBさんCさんから依頼を受け進めていくことになりました。
当初のお話によると、佐野さん夫妻には子供はおらず、相続人は佐野さん、弟のAさん、Bさん、Cさんの4名ですが、どなたもAさんとは長年交流が無く、今どこに住んでいるのか、且つ安否さえも分からない状況でした。

そこで、特にAさんの状況を明らかにするため、早速、相続人確定業務を行うことにしました。その中で、まず戸籍によるとAさんは存命であり、数十年前にアメリカ人の方と結婚されていることが判明しました。次に、現在のお住まいを住民票で確認したところ、数年前に「職権消除」されており、行方が分からない状況であることも判明しました。

佐野さん、Bさん、CさんにAさんの状況を説明したところ、現実的に行方不明者を探すのは非常に困難で時間とお金が掛かることから、このまま手続きを進めていくことを断念されました。中でも佐野さんは非常に落胆されていました。
「ならば、せめて一部だけでも佐野さんの手に渡るように」との想いで、『相続預金の仮払い制度』による金融機関での手続きを提案し、あらためて進めていくことにしました。

手続きは無事終了し、佐野さん、Bさん、Cさんの手元に僅かばかりのお金が入りました。その後、Bさん、Cさんは、受け取ったお金を佐野さんに渡され、佐野さんは大変喜んでおられたそうです。

残念ながら今回の相続において完全な解決には至りませんでしたが、どんな状況下でも今出来る最善策を考え、提案することが重要であることを学んだ案件でした。