【相続事例集】通帳再発行と届出印改印の泥仕合

田所さん(長男)の父が亡くなったと当センターに相談に来られました。

相続人は母と姉弟の合計4名です。その姉弟はどうも仲が悪い様子。
生前お父様がお母様と姉弟の前で財産は長男に相続させるとおっしゃっていたそうです。
お母様もそのことを覚えており、それらしきメモもありました。

メモをもとに相続手続きを行おうとしたのですが、お姉様は聞かぬ存ぜぬの一点張り。

メモではどうすることもできず、自筆の遺言書も公正証書遺言もなく、争続に。
結果的にお姉様が弁護士に相談し、当センターではお手伝いはできませんでした。

聞くところによると、二次相続対策なのかどうか分かりませんが、姉弟でお母様の通帳を管理し合うことにまで発展。お互いが、お母様を連れて銀行窓口に行き、通帳を紛失したので再発行の依頼を、一方は印鑑を紛失したと言って通帳の改印手続きを、というようなことが数回繰り返されたようです。銀行も母親本人が窓口に来ているので断れません。

これでは埒が明かないと、お父様の遺言が無かったことを反省して、田所さんはお母様と一緒に公証役場で公正証書遺言を作成されました。

ごきょうだいは、お互い良識のある立場の職業に就かれているのですが、その裏ではこのようなことが行われていました。このような事案は少なくはないでしょう。もしかしたら今度は遺言書の作り合いをしているかもしれません。