【相続事例集】娘への想い

仕事で出張中にホテルで倒れ、そのまま帰らぬ人となったMさんの妹である古川さんが相談に来られました。Mさんは15年ほど前に離婚しており、元妻との間には娘であるYさんがおられるとのことでした。しかしMさんは離婚後Yさんとは疎遠で、古川さんもYさんの連絡先やどこに住んでいるか全く分からない状態でした。

Mさんは会社の社宅に住んでおられ、引き渡しの手続きは古川さんが行い、その際にMさんの通帳や残された遺留品などを預かっていました。古川さんはこれをYさんに返したいと思い相談にこられました。

行政書士と連携し、Yさんの戸籍や附票をたどり、保管物返還の内容証明を送付するところから始めました。内容証明送付後、Yさんから連絡があり、古川さんとYさんが会うことになりました。話を聞いてみると、YさんはMさんと疎遠になっていたが、ずっとMさんがどうしているか気がかりだったそうで、亡くなったことを聞いてショックを受けていたそうです。

さらに、Mさんの携帯電話の暗証番号はYさんの誕生日、メールアドレスにはYさんの名前も入っていることがわかり、MさんはYさんのことをずっと想っていたようです。それを知ったYさんは大粒の涙を流しておられました。

そんなMさんの想いを知り、Yさんはきちんと相続手続きや法要をしてあげたいと、支援センターと連携しながら手続きを始めました。JICC等で債務の確認や、通帳のある銀行で残高の確認、勤務先での退職金の有無など片っ端から調査しました。結果、クレジットの未払いなど若干の債務もありましたが、プラスの財産が上回っていることがわかり、相続手続きを進めることができました。

相続財産よりも遺留品の中のMさんの時計や写真など形見の品の方がうれしいとおっしゃっていたのが印象的でした。古川さんもYさんが小さい時以来会うことが出来て、また、Mさんの遺留品をYさんに渡すことや、法要をYさんと一緒にしてあげることが出来て良かったとおっしゃっていました。

お互いが想い合っているのにも関わらず、再会は亡くなった後というのは寂しいですね。自分のしたいことをする、会いたい人に会う、行きたいところに行くといった自分の想いは、後悔しないように、元気な間に実現に向け行動することが大切だと痛感させられた案件でした。