【生命保険の落とし穴❼】保険を活用した暦年贈与に注意!名義保険と連年贈与のリスク

そろそろ終活を考え始めたFさん。「もしも私に万が一のことがあったら、息子は多額の相続税を支払わなければならない。毎年110万円以内の贈与なら非課税と聞いたけれど、息子のことだから大金を手にすると散財しそうで心配!そうだわ。毎年100万円ずつ10年かけて保険料を払ってあげれば、私の財産を1000万円減らすことができるわね」

Fさんは早速、契約者と被保険者を息子さん、受取人をお孫さんにした保険に加入し、Fさんの銀行口座から保険料が引き落とされるように契約を結びました。

さて、ここには2つのリスクが伴います。
① 保険料を支払っている最中にFさんが亡くなった場合、この保険はFさんの「名義保険」だとみなされます。契約者が息子さんでも、税務署は、この保険を実質、誰が支払っていたかに注目するからです。Fさんが亡くなった時点での解約返戻金相当額が相続財産とみなされます。
② 毎年100万円を10年間贈与すると、税務署に「連年贈与ではないか?」と指摘されるケースもあります。贈与がスタートした時点で「定期金給付権」(10 年間にわたり毎年 100 万円ずつ受け取る権利)を贈与されたとみなされ、受け取った側(息子さん)に多額の贈与税が課せられる可能性がゼロではありません。

保険を使って毎年を贈与する場合は、以下のことに気を付けましょう。
◆贈与者(Fさん)の口座から受贈者(息子さん)の口座に年間110万円以内のお金を振り込み、保険料は受贈者(息子さん)の口座から引き落とす。
◆いっそのこと、年間の贈与金額を基礎控除額の 110 万円を少し超えるようにして、受遺者(息子さん)が贈与税の申告と納付を行うようにする。
(※年間 120 万円の贈与の場合、贈与税は 1 万円になります。)