老後のすまい 月いくら

健康や体力に不安を抱える高齢者にとって、晩年を安心して過ごせる住まい選びは大きな関心事だ。

急増している「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」と従来の有料老人ホームのポイントを整理しておこう。

「介護付き」有料老人ホームは入居者の要介護度に応じて費用は一律で、ホーム職員が包括的に介護を行う。入居の際は、想定される居住期間の家賃の前払い分として入居一時金を支払う。想定期間を超えて入居しても、それ以降は家賃がいらず、月々の費用を抑えられる。

想定より早くホームを退去した場合、居住期間に応じて一時金は返還されるが、ホーム側の収入が差し引かれるため返還される金額は少なくなる。

「住宅型」老人ホームに住む場合、介護保険サービスは費用の一割負担が原則だが、要介護ごとに決まっている利用限度を超えた分は全額自己負担となる。

重度の要介護になっても住み続ける場合は、自己負担が大きくなる可能性もある。一方、「サービス付き高齢者向け住宅」は新しいシニア住宅として国が推進しており、現在全国で約11万戸ある。

入居一時金も不要で月々の費用も老人ホームと比べると安くすむ。 バリアフリー設計の基準を満たし、日中の安否確認や生活相談等の担当者が常駐することが登録条件で、ほとんどの物件が食事も提供している。

介護については、入居者が介護サービス事業者とそれぞれ契約する。自宅での介護と同じようにサービスの利用状況で費用は変動する。「住宅型」老人ホームと同じ仕組みなので、介護保険サービスの利用が限度を超える可能性がないか、入居前に確認する必要がある。

このようにシニア向け住宅は、サービス内容や入居費用といった基本的な事項でさえ分かりにくいことが多い。自分の体が動くうちに選択眼を磨き、後悔しない老後の住宅を見つけたい。
(平成25年5月29日 日経新聞より)

母親の介護を経験し、高齢者住宅に詳しい作家の岡本類さんは「とりあえず費用の安いサービス付き高齢者住宅に入居しながら、有料老人ホームの体験入居を利用し気に入ったホームを探して住み替えるのが一案」と語っています。

入居を考える際は、事前にメリット、デメリットを把握し、自分に合ったシニア住宅を探す必要があります。

資料を請求したり、近くの高齢者向け住宅や老人ホームを見学・体験することで、多くの施設の情報を得ることができます。

その中から、費用・介護サービスの内容・家族への負担等を考え、入居者や家族全員が納得できるところを探すことが大切です。