夫Aさんが亡くなり、妻Bさんから相談がありました。
事情を聞いてみると、二人の間に子供はなく、相続人はBさんとAさんの甥姪5人でした。親族とはあまり進行がなく、さらにBさんは耳が遠く、電話をするのも難しい状況でした。
まずは戸籍を集めて、他の相続人に手紙を出すことにしました。
しかし手紙を出す前に、Bさんが亡くなってしまいました。Bさんにも子供はいないので、Bさんの兄弟姉妹がBさんの相続人となりますが、こちらもAさんの親族と同様、すぐに連絡が取れませんでした。
依頼者であるBさんの死亡により手続きが中途半端にとまってしまい、どうしようかと思っていたら、Bさんの身の回りのお世話をしていた介護の担当者が相続人であるBさんの姪(Cさん)の連絡先を知っており、Cさんに会うことができました。Bさんが亡くなったことやAさんの相続手続きの途中であることを伝え、Cさんに代表者として手続きを引き継いでもらうことになりました。
希望する手続きはAさん、Bさんの預金を解約、二人の自宅不動産も売却し、すべて現金化した中から経費を払って残金を相続人で法定相続分通りに分けるというものでした。
スムーズにいくと思っていましたが、ここにきてもう1つ大きな問題が判明しました。
Bさんの戸籍を取ると、妹が2人、甥姪が4人、計6名の相続人がいることが分かりました。さらに87歳の妹Dさんはアメリカ人と結婚し50年以上アメリカで生活しており、外国籍の上に海外在住という状況でした。日本国籍ではないので、日本領事館でのサイン証明は取得できません。アメリカのノータリーで宣誓供述書に署名する手続きが必要となります。
そのことを伝えるべく手紙を送付しましたが、音沙汰がありませんでした。しかし、相続人であるBさんの姪が数年前までDさんとメールをしており、Dさんのメールアドレスを確認することができました。メールを送ると、Dさんに代わってDさんの息子がメールを返信してきました。Dさんは元気にしているが高齢なので息子さんが窓口になるとのことでした。
お互いにメールは「Chat GPT」や「Google Gemini」の翻訳を駆使しながら、取得する書類やその取得方法をやり取りし、無事にDさんにも署名いただくことが出来ました。
余談ですが、アメリカのロサンゼルスの日本領事館は、Dさんのような元日本人(アメリカ人と結婚してアメリカ国籍である方・アメリカのパスポートを持っている方)でも日本人であった戸籍謄本などを出せばサイン証明書を発行してくれるようです。今回もサイン証明書を取得できたので、宣誓供述書ではなく遺産分割協議書で手続きを進めることができました。
その後無事に手続きが完了し、相続人で財産を分けることが出来ました。依頼者だけでなく、他の相続人からも大変感謝されました。
「少子化による第3順位の増加」「親族と疎遠」「外国籍になった相続人」「AIを使い外国語でのやり取り」といった令和時代のあるあるがてんこ盛りの内容でした。今回の手続きは相続人だけで進めるのは難しかったと思います。相続手続きのノウハウを熟知した相談員がかじを取って煩雑な手続きをサポートするという業務は、センターの強みだなと強く感じました。
AIが普及したこの時代でも、相続人だけで進めるのが難しい案件もたくさんあると思います。
今後はこのような案件が出てきても、自信をもって進めることができるように、経験を積む・センターで事例を共有することがとても重要だと、改めて感じた案件でした。

