【相続事例集】相続人と財産が複雑な相続放棄

3年前のことでした。祖母が亡くなり代襲相続人のAさんが相談にみえました。相続人はAさんと叔母Bさんの二人で、叔母Bさんから、「何でもいいからサインと実印を押しなさい」と求められているということでした。

その時点でAさんは、祖母の財産状況もわからず、叔母Bさんから何の説明もなかったのです。「たとえ実印を押すにしても、全体像をつかんでからの方がよいでしょう」とアドバイスして、相談を終えました。

先日改めてAさんと、その母Cさんが、再相談にセンターに来られました。

「先月、父方の祖父が亡くなりました。この祖父の成年後見人の弁護士から、後見の精算書類というものを郵便で受け取りました。『祖父の財産は債務超過の状態にあり相続放棄を勧めます』と記載されていました。相続放棄をするにしても何をどうしたらよいのかわからず、困っています」とのこと。

まず、Aさんは、相続関係や遺産の状況を確認することにしました。というのも、Aさんは、今回の被相続人である祖父、3年前に亡くなっている祖母、12年前に亡くなっているAさんの父(祖父母の息子で、Cさんの夫)について相続の手続きをしておらず、自分自身でも、状況をきちんとつかんでいなかったからです。

調査を進めるうちにAさんは、父と、祖父の連帯保証債務を相続しており、総額5億円ほどの返済義務を負っているがわかりました。

事情を聴くとAさんの父は、祖父とともに事業を営んでいましたが、ある日突然失踪してしまい、AさんとCさん親子はCさんの実家に引っ越して生活をしていました。

父の失踪後3年ほどが経ち、祖母から1通の手紙が来ました。

父が1年ほど前にタイで亡くなっている事と、今後父のことでかかわりを持たないように、という2点が書いてあっただけでした。Aさん親子は父の相続についても祖父母によって行われているものだと思い、かかわりを持たないままでした。

今回、祖父の相続について叔母Bさんと共同相続人となったAさんでしたが、祖父の死後2か月ほどで、叔母Bさんも急死し、Bさんの相続人にもなりました。

Aさんは、祖父母、父、叔母の4名の相続人として、すべての相続につき相続放棄をすることに決め、裁判所に書類を提出しました。

その際、「12年前の父の相続放棄ができるか?」ということが問題となりましたが、弁護士のアドバイスにより無事すべての相続放棄をすることができ、5億円ほどに及ぶ負債を負うことを免れました。

相続放棄するにあたり、Aさんは、被相続人の名義の不動産の一部に、自分が共有名義人になっている建物のあることを気掛かりにしていました。Aさんは、4年分の固定資産税の請求を受けていたのです。役所と相談した結果、時間稼ぎのために少しずつの金額を分納し、競売にかかるのを待つことにしました。後日、財産管理人の弁護士より連絡があり、競売代金からAさんの持分についての分配を受け取り、固定資産税の負担からも解放されました。

Aさんはその2か月後に看護師の国家試験に合格し、「新しい人生の第1歩を相続の不安のない状態で踏み出せました」と、大変喜んでいました。

 

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最後に

代表の米田貴虎(よねだたかとら)です。

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