横井様(仮名)が、亡くなった母の相続手続きをお願いしたいと弊支部に来所されました。
横井様のお母様は、10数年前の米国在住時に米国人のご主人(横井様の実のお父様)と、婚姻・離婚をされ、それからはずっと日本で暮らしていました。横井様もお母様も、それからお父様とは連絡も取っておらず、他に兄弟姉妹はいないので、母子2人で生活してきました。
そして今回、相続手続きのため弊所の方でお母様の出生からお亡くなりになるまでの戸籍関係を揃えてみたのですが、驚いたことにお母様から聞いていたはずのお父様との離婚の記載が載っていません。
戸籍上では、まだお父様と婚姻状態にあることになっており、このままでは米国のお父様も相続人であることになり、遺産を横井様単独の名義に変えることはできません。
どうしてこのような事態になったかというと、米国には日本のような戸籍制度がなく、夫婦は離婚する際に裁判所にて離婚の判決を受け、判決書で離婚した事実を証明するからです。ただ、判決を受けても、自動的に日本の戸籍に離婚の事実は反映されないため日本の役所に届け出る必要があったのです。
離婚をした事実には間違いはないですので、役所にお願いをしたところ、時間はかかるが戸籍の記載を修正してもらえることになりました。
離婚の事実を証明するものが必要でしたが、幸いお母様から離婚についての判決書写しをもらっていたので、それを和訳して提出することで、本籍地の役所に送付してから丸3カ月程の審査のうえ無事に修正の手続きを完了し、相続手続きを進めることができました。