42歳の息子Aさんの相続の相談をしたいと父であるBさんから連絡があり話を聞くと、「息子は高校生の時、学校行事中の事故で下半身に障害が残り、結婚・子供もなく家で過ごしていました。学校から支払われた賠償金を基に資産運用を楽しみに生活をしていました。ネット銀行にも複数口座がありどうしたら良いものか。」という内容でした。
Aさんは、預貯金・不動産の他に株式や投資信託、ネット銀行などの資産をお持ちでした。相続人である父のBさんは81歳、母のCさんは78歳で、高齢である二人は通帳がないインターネット上の金融資産に困惑し、その手続きも「ややこしい」「難しい」という思いがあったそうです。
一般の銀行、証券会社、ネット銀行の手続きを開始しました。窓口のある銀行や証券会社には直接行けば、書類の確認や説明を聞くことができますが、今回のネット銀行には窓口がないので、電話での確認と郵送での書類送付で対応するしかありませんでした。
その上ネット銀行は全部で5行あり、その手続きを郵送でやり取りするには時間がかかります。中には書類を送付してから返却されるまで1ヶ月ほどかかる銀行もありました。全部の手続きが完了するのに約半年かかる計算です。
そこでBさんに戸籍を2セット用意し、2行ずつ同時進行でネット銀行の手続きを進めることを提案しました。Aさんは結婚していなかったため、現在戸籍と原戸籍の計2通で被相続人の出生から死亡までの戸籍と相続人の戸籍が揃うので、すぐに2セット用意することができるからです。
早く手続きを終わらせたいと考えていたBさんに2セットの戸籍の取得に協力いただき、まず窓口のある金融機関の手続きを順に済ませました。その後、提案の通りにネット銀行の手続きを2行ずつ進めることができました。
その結果、当初大変で時間がかかると思っていたネット銀行の手続きは、2ヶ月ほどで払い戻しが完了し、BさんとCさんは大変喜ばれました。通常は出生から死亡までの戸籍と相続人の戸籍は1セットを用意して手続きをしていますが、場合によっては複数セットを用意した方が円滑にいくことを痛感しました。
依頼者のほとんどが早く手続きを済ませたいと思っています。依頼者が満足する形で手続きを進行することが大切だと思いました。