【相続事例集】検認手続に行けなくて

三保さん(仮名)はご主人を亡くされ、ご自身も病気がちで外出出来ず、相続手続も進められないままでした。三保さんは、亡くなられたご主人から、生前、自筆証書遺言を渡されていました。ところが、家庭裁判所に遺言検認の手続きにも行けず、遺族年金の手続きも出来ずに困っていたのです。この状況を見かねた金融機関の行員さんから当センターを紹介されたそうです。

自筆証書遺言の検認手続をすすめるには、三保さんご自身が裁判所に行かなければならないのですが、それができない健康状態でした。そこで、当センターでは弁護士に依頼し、検認手続をし、遺言執行者の選任手続をしました。

自筆証書遺言が存在する場合、相続では遺言に書かれている内容が最優先されます。一方、相続人全員で遺産分割協議をすることで、遺言を使わず相続手続きを進めることもできます。遺言の検認を進められないので、この方法を選択することも考えましたが、三保さんにとって、不利益はあっても利益がないため、採用しませんでした。

というのも、被相続人に子供はおらず、両親も他界していたため、ご主人の兄弟が相続人となり、代襲相続人も含め、相続人が10人以上となりました。

また、遺言の内容が、財産を全て奥様に相続させるといった内容になっていたため、判子をもらう手間や、その他の面倒な調整よりも自筆証書遺言の検認、遺言執行という方法を選びました。