長年一緒には暮らしているが、入籍せず、いわゆる事実婚である場合、本人たちは「結婚している」と言いますが、法律上(戸籍上)は夫婦ではありません。
それは、どちらかが亡くなった場合に、身に染みて感じることです。どんなに長い間一緒に暮らしていたとしても、法律では、相続人とみなされないのです。そういった場合は、必ず遺言書をきちんと作成しておくことです。今回のように、相続人ではない人へ財産をあげる場合の書き方の注意点として、「相続させる」ではなく、「遺贈する」という表現にしておいた方が良いということです。
「相続させる」とすると、場合によっては、手続ができないこともあるからです。また、被相続人の両親がご健在の場合は、本来は両親が相続人となるので、内縁の相手に財産を全て残してあげたい場合は、遺言書の中に、一言自分の想いを加えておくのが望ましいです。これを付言事項といいます。両親は遺言の内容を知った際、遺留分の減殺請求ができるので、揉めないような形で書き残しておいてください。
例えば「彼女とは長年夫婦同然の生活を送ってきたので、これから彼女が困らないように、私の財産を全て彼女に残したいと思います。お父さん、お母さん、私の願いを尊重してもらえたら嬉しいです。」など、ご両親の気持ちを和らげるようなものにしてください。
または、全てを内縁の相手に残すのではなく、両親にもある程度、財産を残してあげる等、配慮してあげると、揉める可能性は少なくなるでしょう。