Zさんが亡くなり、相続人は妻とその娘2人です。
財産の状況は、預貯金と比べて不動産の割合が多いことで、自筆証書遺言があることも分かりました。
相続人の方々は、家庭裁判所で検認の手続がある旨認識はされていたのですが、それでもZさんの生前の意思が気になったらしく、検認前に開封してしまいました。そして内容を確認した長女は、遺言書を壁に投げつけてしまったのです。
内容は、孫への承継も含んでいて、長女へ相続させる旨の記載があったのは、売却予定の土地だけだったのです。
幼い頃からZ家を承継していくつもりだった長女は、怒りと落胆によって、この相続自体について考えることを拒否するようになりました。そしてその怒りは、妻や次女にも向けられるようになったのです。
その後数ヶ月間かけ、妻と次女の説得もあり、3人で話し合いができるようになりました。結局財産は遺言通りの配分にならず、遺産分割協議によって、次女が多くの財産を相続することになりました。
公正証書遺言で執行者が指定されていれば、生前の意思も尊重され、このような遺産分割の長期化は避けられたことでしょう。また、付言事項などで被相続人の思いも伝えられれば、相続人同士でもめることも緩和できたかもしれません。