【相続事例集】最後の気持ちを込めた遺言書

「私の母が、遺言を書きたいのですが…」

以前相続手続きで支援させていただいたAさんから、電話をいただいた。

家族構成・財産額は以下の通り。

・母…B、長女…C、次女…A(依頼者)

・母Bの相続財産 約2,000万円(土地、預金)

母Bは、長女Cと次女Aの、2人の子供をおもちです。

何年も前から、母Bは、体に不自由を抱えていて、人の手を借りないと生活をおくれません。数年前までは、母Bは、長女Cの手配したヘルパーに世話をしてもらっていました。母Bは、長女Cからは何もしてもらっていません。

現在、母Bは次女Aと一緒に暮し、Aに身の回りの世話をいただいています。

こういった状況の中、母Bは、

「いつも親切に世話をしてくれている次女Aに全ての財産をあげたい。また、遺言を通して、長女Cに最後の気持ちを訴えたい」 と相談をセンターにしてこられました。

※相続手続支援センターの対応

今回は、公正証書遺言を作成することを提案し、遺留分減殺請求のリスクも説明し、母Bに納得いただきました。

遺言作成当日、手が震えて自分の名前を書くことさえ難しいのにも関わらず、必死で名前を記入する母Bの姿を拝見、無事公正証書遺言の署名・押印は終わりました。この日のために、昨晩何度も何度も自分の名前を書く練習をしてきましたと、おっしゃっていたのを今でも覚えています。

相続人同士の争いを回避したり、思い通りに相続財産を分配したりすることが遺言書の目的となっております。しかし、今回は母Bが長女Cに対する最後の思いや願いが込められた遺言書になっており、貴重な体験ができました。