デジタル遺品 生前管理へ – さまよう故人データ

故人が現世に置いていったスマートフォンやSNSアカウントは「デジタル遺品」と呼ばれる。本人がいなければパスワードが解除できず、遺族が中身の確認や操作をするすべはほとんど無い。

パスワードの解除やデータ復旧の価格は30万円前後。中でも米アップル製品は暗号化が高度で、ロックの解除自体が難しい。指紋や音声などで本人確認をする生体認証が広がれば、亡くなった人の情報に触れるのはますます難しくなる。

そのような中、葬儀社のアーバンフューネスコーポレーションが、死後のデータの提供先を細かく決めておけるデジタル遺品整理サービスを来年に開始する。

デジタル遺品の法整備はまだまだ黎明(れいめい)期で、SNS各社の対応も異なり、歴史が浅いために想定外の事例が起きる可能性がある。外為証拠金取引(FX)や仮想通貨など金融資産の扱いも課題になる。

総務省によると2017年のインターネット利用率は、13~59歳で9割超。SNSの年齢別活用状況では60代の4人に1人が利用している。デジタル時代を生きる人は自分のデータを守るだけでなく、死後に家族や友人にどう引き継ぐかを考えなければならない。

(平成30年11月22日 日本経済新聞より抜粋)

「私が万が一の時は、とにかくスマホとパソコンを、海に捨てほしいのですが、お願いできますか?」

先日、経営者向けのエンディングノートセミナーの後の懇親会で、お願いされた内容です。

「とにかく、誰にも見られずにこの世から抹消して欲しいのです・・・」とのこと。

よほど見られては困る内容が、保存されているのでしょう。

これまでも、デジタル遺品の相談は受けてきましたが、困ることはオンラインでしていたFX取引ぐらいではないかと思います。

気づかないうちに、大損をする可能性はこの手続きぐらいではないでしょうか。

仮想通貨も、現在のところ本人限定で相続されないという取引所が多いみたいですが、今後件数が増えてくれば、方針が決定することでしょう。

金銭的な損失を被る可能性があるデジタル遺品以外は、そのままそっと無かったことにするほうがいいでしょう。

パソコンやスマホの中身を確認して、嫌な思いをする遺族のほうが多いと思いますので。

(米田貴虎)