「おひとりさま」に保証人の壁

単身の高齢者が身元保証人がいないことを理由に、介護施設や病院への入所、入院を断られるケースが絶えない。

成年後見センター・リーガルサポートの調査(2014年)では、病院や施設の9割以上が保証人を求め、いない場合に入院や入所を認めないのは病院で23%、施設で31%に達したという厚生労働省令では、特別養護老人ホームなどの施設について、「正当な理由なくサービスの提供を拒んではならない」と定めている。

しかし、施設側としては、事故や死亡時の緊急連絡先や入院費・利用料の滞納があった場合の未払いを確保したいという大きな事情がある。家族や親族以外に保証人になってもらうのは難しい実情の中、保証人機能を代行する事業者に依頼する例が増えている。

一例をあげると、身元保証、役所手続きの代理、代行、介護施設、病院への入所、入院手続の支援などで、契約時に払う利用料は33万円、それに火葬の立ち会いなど死後事務まで含めると、100万円以上の料金になることもあり、ある程度、収入に余裕がないと難しいことになる。

(2016年4月18日 日経新聞より)

少子、未婚化で、保証人になる家族がいない高齢者は増えている。施設や病院側も、身元保証を求めなくても済むような制度が必要と考えている。身元保証の大きなキーワード、死後事務、債務の確保。これらの問題を身元引受けと切り離すことで、保証人をたてやすくすることが大切だ。

現在、「後見人が死後事務ができるよう」に法改正が望まれており、高齢者で後見人をつける人も増えている中、大きな一助になることだろう。