妻名義なのに「夫の預金」?

「夫婦だから、夫が稼いだお金は夫婦2人のもの」。そう考える女性は多いだろう。しかし、相続では通用しない。夫婦それぞれが稼いだお金はそれぞれのものという「夫婦別財産」の考え方が基本だからだ。

これを知らないでいると、妻はコツコツためた老後の備えを自分のものにできなくなる可能性がある。

妻がためた「へそくり」の原資は夫の稼ぎ。夫から妻に贈与をしたという証拠もないので、名義は妻でも夫の預金となる。贈与でも注意が必要だ。いわゆる「したつもり贈与」だ。名義を変えるだけでは贈与にならない。

夫が妻や子、孫のためにお金を贈っても、相手がそれを知らなかったり、使えなかったりしたら贈与は成立しない。

税務調査は名義預金を探すのが目的ともいわれ、現金・預貯金の中には名義預金が多く含まれるとみられる。悪意がなくても、申告漏れを指摘されれば修正申告が必要となり、延滞税や過少申告加算税や重加算税までかかるので厄介だ。

名義預金はちりも積もれば1000万円や2000万円に膨らむ場合もある。遺言や遺産分割協議で多くを他の相続人に渡すこともある。妻は当てにしていた金額が手に入らず、老後の資金計画が狂うこともあるので注意が必要だ。